~想い・・・~
病室の母の寝顔に冬陽射し
白いカーテンかすかに揺れた
この病院に来て3年あまり、今ではもう笑顔も見られなくなった母がいる。
右手だけは動かしている。
その手で私が帰る時には「バイバイ」と手を振ってくれた。
そんな仕草も、もう見られない。
痩せて小さくなった母は、今何を思っているのだろう。
親孝行なんて出来なかったわたし。
母の若き頃、困難な時代だった。
朝から晩までくるくるとよく働いていた姿が脳裏に浮かぶ。
そんな中、わたしたち姉妹を産み育ててくれた。
桜の木も空に向かって春を待つ。
母に、今年も桜を見せてあげたい。
「ありがとう」としか言えない。
帰り道、散歩に行った青ノ山、今にも泣きだしそうな空だった。
途中で冷たい雨が落ちてきた。
この日、「連絡先を再確認させてください」と言われた。
もしもの時の為にと・・・