書籍・雑誌

2017/09/11

~錦繍~

伝えたい深い想い 錦繍
 手紙が織りなすこころ模様

 

P1200473


「錦繍」 宮本輝・著 新潮文庫

 錦繍、美しい言葉だ。
眠れぬ夜、積読本の中から取り出して一気読みした本。

 「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」
から、始まる元夫婦の往復書簡だ。

ある悲しすぎる事件をきっかけに愛しあいながらも離婚した二人。
10年の歳月を経て、偶然、再会した二人。
想いを抱えたまま、孤独を抱えて生きてきたそれぞれの十年間。
長い長い手紙の中で明かされる真実と、伝えられなかった深い想い。
美しい文章で綴られる。

元夫婦の未来への希望と再生の物語。

今は、メールとかラインで想いはすぐ届けられる時代だが。
手紙でこそ伝わる想いもあると知った。

往復書簡は、美しい言葉が織りなす生と死の物語でもある。

昭和という時代背景のせいなのか、この男女の想いすべてに共感出来ない部分があるなとわたしは感じるけれど。

あらすじを詳しくは書かないが、興味のある方は、ご一読を。

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おまけ画像

P1180958
自然の中へdogdash

秋は、メランコリック・・・

2017/08/16

~夏の庭 The Friends~

忘れない 少年の夏 逝きしひと
 少し大人にそれぞれの道

P1200221

「夏の庭」 湯本 香樹実 著 新潮文庫

緑の中に立つ三人の少年の姿、表紙絵を見て思わず手にした一冊。
三人の少年とおじいさんとのお話だ。

初めて「死んだ人を見た」というデブの山下、おばあさんのお葬式から帰ってなんだか様子が変だ。
ぼく木山とメガネの河辺は、山下からお葬式の様子を聞き「死ぬ」ということについて考え始める。

人の死ぬ瞬間を見てみたいと思う少年たち。
町はずれに一人で住む生きる屍のごとき老人を観察することにした三少年。
毎日交代で時間が合えば一緒にお爺さんを尾行し、塀の外から観察し始める。
そんな三人に気付いていたおじいさん。

やがてさん少年とおじいさんの交流が始まっていく・・・

おじいさんはますます元気になり、小ざっぱりとした身なりになっていく。

その過程で、三少年とおじいさんの間に生まれた深い絆。

ある夜聞かされたおじいさんの身の上話、怖くて悲惨な戦争体験。

最期は、眠るように穏やかな顔をして死んだおじいさんを見つけるのだが・・・。みんなで植えた夏の庭には、コスモスの花が咲くころだった。。

家も庭も取り壊され跡形もなくなってしまうが、少年の心には消えない記憶として夏のひと時が刻まれる。それはおじいさんと過ごした夏の出来事。

少年たちは、少し大人になってそれぞれの道へと歩み出す。

8月15日、終戦の日でしたね。
物語の中で語られるおじいさんの戦争体験、生きて帰ってからもひきずり続けたその思いに胸が痛む。

今の平和に感謝です。
恒久の平和を祈ります。

2017/07/24

~ふるさと銀河線~

人生は笑って泣いて深い森
 探し歩けば出会う青い鳥

P1200087

ふるさと銀河線 軌道春秋 
   高田 郁 著 双葉文庫

 長く積読本になっていた一冊、取り出して読んでみた。
鉄道、電車の走る美しい風景、その中には人の営みがある。
それぞれがいろんな困難、悩みを抱えながらも生きてゆく。
それでもその先の先にある光を求め見いだす。
読み手の心に温かい余韻を残す。
そんな作品だ。
表題のふるさと銀河線と他8編からなる短編が収録されている。

※北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線は、2006年4月21日で廃止。
 現在は、陸別駅を起点とする観光鉄道「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」となる。
 運転体験のできる施設となって人気だそうだ。
いつか行ってみたい場所だ。

 生きにくい時代です。辛いこと哀しいことが多く、幸福は遠すぎて、明日に希望を見いだすことも難しいかもしれない。それでも、遠い遠い先にある幸福を信じていたい----そんな思いを、本編の登場人物たちに託しました。
 今を生きるあなたにとって、この本が少しでも慰めになれば、と願います。
 あなたの明日に、優しい風が吹きますように。
        2013年11月
                高田 郁
                      あとがきより一部抜粋

最終章の「幸福が遠すぎたら」寺山修二の詩が心に残る。

 幸福が遠すぎたら
            寺山 修二

さよならだけが
人生ならば
 また来る春は何だろう
 はるかなはるかな地の果てに
 咲いてる野の百合何だろう

さよならだけが
人生ならば
 めぐりあう日は何だろう
 やさしいやさしい夕焼けと
 ふたりの愛は何だろう

さよならだけが
人生ならば
 建てたわが家は何だろう
 さみしいさみしい平原に
 ともす灯りは何だろう

さよならだけが
人生ならば
人生なんかいりません

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

我が家の灯りは、トラcat&ルナdog

P1200092
P1200037
お二人さんは、探し見つけた青い鳥かもnote

2017/07/17

~萩を揺らす雨~

人生の長く短い道程は
 いつでも今がスタートライン

P1200026

萩を揺らす雨(紅雲町珈琲屋こよみ) 
   吉永南央 著  文春文庫

65歳でコーヒー豆と和食器のお店「小蔵屋」を開店した杉浦草(すぎうらそう)は、数えで76歳。
まだまだ元気。
試飲の無料コーヒーの香りに包まれる店内、そこに集う人たちを温かく見守る。
そこでの会話がきっかけとなり街で起きた小さな事件に気付くお草さん。
気丈なおばあちゃんの観察力洞察力で謎を解く、果敢に行動するのだ。

「わたしもね、昔は自分を強いと思っていたけど・・・・若いうちに、戦争は起きる、兄も妹も亡くす、離婚する、息子も三つで逝ってしまう、年を重ねたって、雑貨屋だった店も振るわなくなる、家族が病気になる、両親を看取る。生きているとどうしてか大変なことが多くて」

「弱いと認めちゃった方が楽なの。力を抜いて、少しは人に頼ったり、頼られたり。そうしていると行き止まりじゃなくなる。自然といろんな道が見えてくるものよ」

こんなおばあちゃんにも秘めた恋もある。叶わぬ恋だけど・・・。

 紅雲町のお草
 クワバラ、クワバラ
 0と1の間
 悪い男
 萩を揺らす雨

5編からなる連作短編集


読み終えて

「こんなおばあちゃんになれたらいいな~ルナさん、トラさん」

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「なれそうもないワン!dogsweat01

P1180257

「にゃれにゃいにゃん、かあさんはcatsweat01

失礼しましたcoldsweats01

2017/07/12

~政と源~

夏の夜は本の世界に迷い込む
 じいさんコンビと泣いて笑って

P1190993

政と源(MASA&GEN) 三浦しをん著 集英社オレンジ文庫

源次郎と国政、二人は幼なじみ、性格も生き方もすべてが正反対。
そんなジイサンコンビのパワー炸裂、痛快でちょっとホロリとさせるお話。

つまみ簪職人の源次郎と元銀行員の国政、会えばケンカばかり、それでもいつも隣にいる、困った時には頼れる存在だ。
 幼なじみでなかったら、こいつとはきっと友達になどならなかっただろう」

水路のある下町を舞台に、心温まる人情譚。

「来年の桜を見られるのか、俺たちは」
「さあなあ」
「俺たちが見られなかったとしても、来年も再来年も桜は咲くさ。それでいいじゃねえか」
   政と源

P1190879

蒸し暑い夏の夜、本を読むのもいいにゃあ~catbook

2017/07/02

~いつか、ふたりは二匹~

いつかくるそれは別れ 人と人
 そして猫・犬 
いつかはひとり

P1190983

「いつか、ふたりは二匹」 西澤保彦 著 講談社文庫

ポール・ギャリコ「ジェニー」へのオマージュ作品とか。
わたしは未読、読んでみなければ。

小学6年生のぼく、眠りに着くと猫の体に乗り移る、不思議な能力を持つ。
ぼくには久美子さんという大学生になる義理の姉がいる。
訳あって今は、久美子さんと二人の生活だ。

猫になったぼくジェニーには、ピーターという大きな犬と友達になる。
ふかふかの毛を持つピーターに寄り添って眠る時間は心地いい。
ゆっくりゆっくり流れる時間。

そんな中、町で起こった女児襲撃事件・・・
猫になったぼくが、謎を解き始める。
ここからスリルとサスペンス?はらはらドキドキ!
ピーターとは誰?

犬と猫とのお話だ。
ファンタジック・ミステリー。

しかし、結末はちょっと重い・・・。

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2017/02/03

~最近読んだ本~ 「七時間半」

懐かしき昭和遠くて近くて
 変わることなき人間模様

P1170895

「七時間半」 獅子文六著 ちくま文庫

 このお話は、昭和30年代、品川~大阪間を七時間半かかっていた頃の豪華な特急「ちどり」を舞台としている。
運行しているのは、日本急行鉄道会社・国鉄、後のJRがモデルだ。

品川を出発して大阪に着くまでの車内での出来事、ドタバタ劇、ノンストップで読んでくださいtraindash
車両編成は一等車から三等車まであり、食堂車もある。
食堂車を経営しているが全国食堂、日本食堂(のちの日本レストランエンタプライズ)をモデルにしている。

ここで働く人たちの織りなす人間模様、サスペンスの様相もあり、7時間半のラブコメディーでもある。
また華やかな列車で働く人たちの乗客からは見えない部分、裏側が描かれていて興味深い。

なんとこの小説を週刊誌に連載した当時、獅子文六は70歳だったことにびっくり!

古くて新しい小説だと思った。
興味沸きましたら是非どうぞ!

...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。

P1170960
「トラも食堂車、乗ってみたいにゃンcattrain
「お魚、食べたいからだねfishsweat01

P1170777
「ルナも食堂車乗ってみたいワン!dogtrain

「たぶん、わんこもにゃんこもngだよ」

catpout dogbearing

2016/12/02

~恋歌~

激動の時代を生きた歌人あり
 胸に迫るは心の叫び

P1170325

「恋歌」 朝井まかて 著  講談社文庫

第150回直木賞受賞作である。
幕末の小説をよむとき、そこに描かれるのは坂本龍馬や新選組、あるいは吉田松陰といった綺羅星の如き男たちの、志を懸けた戦いの様子であることが多い。
 しかし、幕末の動乱は彼らだけのものではない。ただ普通に、ささやかな日々を暮らしていただけの女たちをも、その渦中に飲み込んだのである。・・・・略

「男が志に生き志に死ぬのならば、女は何に生き何に死ねばいいのだろう」

その答えの一つがここにある。

     解説より

明治期の歌人、樋口一葉の師である中島歌子の物語。

  歌子の晩年、門下生である三宅花圃(みやけかほ)が書斎から、見つけたもの、それは歌子の半生を綴ったものだった。

  江戸、商家の娘として育った登世(後の歌子)は、一途な恋の相手、水戸藩士に嫁ぐ。
夫は天狗党の志士、やがて内乱が勃発、歌子ら妻子も逆賊として投獄される。
牢生活は、過酷、地獄のような日々・・

18歳で嫁いで3年間、いや応なしに運命は大きく変えられてしまう。

維新後、江戸にもどった登世は、中島歌子と名乗り和歌の修行に励む。

過酷すぎる運命に翻弄されながらも、生き抜いた実在の女性の物語である。

代表作
 君にこそ恋しきふしは習いつれ さらば忘るることもをしへよ

いつの間にか激動の時代に引き込まれた。

お勧めの一冊である。

...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。

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「散歩連れて行ってくれないんだワン!」dogsweat02
ご機嫌斜めのルナ姫

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「遊んでくれにゃいの?」catsweat02
不満顔のトラ王子

2016/11/19

~誰かが足りない~ 

それぞれの足りない誰か待つお店
おいしい料理と新しい明日

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「誰かが足りない」 宮下奈都 著  双葉文庫

評判のレストラン「ハライ」に、同じ日、同じ時間に予約をした6組の客の物語。

 鈍色に変化した煉瓦造りの古い一軒家は、昔はきっと赤かったのだろう屋根に蔦を這わせて建っていた。
 木でできた重い扉を開けると、いらっしゃいませ、とあたたかい声がした。中から現れたマダムの笑顔にほっとして、初めて、私は自分が緊張していたことを知った。
 磨き込まれた床を奥へと案内される。小さなレストランは隅々にまで気を配られており、目に入るものすべてが親しげに感じられる。初めて来たのに懐かしい。ずっとここに来たかったのだ、と思う。
 店の名は、 ハライ。
    冒頭より


予約Ⅰ
 僕は、会社が倒産し、今はコンビニで深夜働いている。実家に帰る気も起きない。
そんな毎日の中で、恋人美果子が結婚するという話を聞くが、何をするでもない。
いろんなものが失われていく中で。美果子が行きたいと言っていた店「ハライ」
 おいしいのよ-感じがいいの。-やさしくて。-懐かしい。
そんな美果子の声を頼りに「ハライ」に行ってみたいと思う。
店内からこぼれるやさしい明かりのよう。

予約2
 夫を亡くし認知症の症状が出始めた私は、頭の中が混乱している。
いろんなことを忘れてゆく私、唯一「おとうさん」と呼んでいた人、夫・が何度も行こうと言っていたレストラン「ハライ」美味しいコンソメスープを食べに・・・
「ハライは特別なレストランなの、お父さんと二人で行くわ」
そう宣言する私。

予約3
 初の係長に任命された久美、それは残業しない同僚の分まで働かされる、「尻拭い用員」だった。
ある日幼馴染のよっちゃんが帰ってくる。子供のころいつも一緒にいて守ってくれた記憶。
時が流れてまた心を通わす二人、二人で食事にいこう「予約入れとくね10月31日に」

予約4
 母の死をきっかけにビデオを撮ってないと部屋から出られない、ビデオ越しでなければ人と話すこともできない。そんな青年が優しい妹とその友人によって、「ハライ」の予約客となる。

予約5
 ホテルのレストランで働いている「俺」いつも食べにくる憧れの彼女においしいオムレツを食べさせたいと思う。
やがて彼女から思いがけないお願いをされる。
俺は本当においしいオムレツを食べさせたくて「ハライ」へ誘うのだった。

予約6
 瑠香は、人の失敗の匂いを感じてしまうという特殊な能力を持っている。
ある日町で強烈な匂いを嗅いだ。その人を追いかけ声をかけずにはいられなかった。
子供のころに嗅いだ叔父の匂い、今は疾走している・・・
最終的に彼を救うことになる。
どんなに大きな失敗をしても、またいつかは這い上がれる。戻れる。

10月31日同時刻に現れる予約客。
会いたい誰か、足りない誰かを待つ。
幸せな時間なのだろう。
新しい一歩を踏み出す前に、おいしい時間を・・・

...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。

P1170283
「トラには、足りない誰か、いないよね」

P1170256
「ルナがいるから、幸せだよね」


  

2016/11/15

~筆跡鑑定人・東雲清一郎は書を書かない~

ゆっくりとページをめくる秋の夜
 灯火親しむ傍らに猫

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「筆跡鑑定人・東雲清一郎は書を書かない」 谷春慶著 宝島社

 筆跡鑑定に興味ありで、書店で手に取った一冊。
著者は1984年、新潟生まれ。
第二回「このライトノベルがすごい!」大賞で、大賞を受賞。

ライトノベルって若年層向け?と思っていたけれど、ぺらぺらとめくって立ち読み。
書に少し興味のあるわたし、本を買った。
文字には、人が表れる。
文字と書、人の深い想いが込められたとき、それは必ず他者の心に伝わる。

変人、毒舌家である書道家、東雲清一郎が、筆跡から謎を解き明かす連作短編ミステリーだ。
その端整な顔立ち、エキセントリックな性格、大学内でも有名人だ。
他人と距離を置く清一郎ではあったが。

近藤美咲は、祖父の残した手紙の謎を解くため、清一郎を訪ねる・・・

TVドラマにすれば面白そうだと思った。
気軽に読めるエンターテイメントだ。

P1170239
「トラは、読書より寝るのが好きだニャンcatsleepy

夜は寒くなってきました。

P1170261

くっつくとあったかいニャンcatdogspa

でもお尻向けてるしcoldsweats01

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