~千日紅の恋人~
いつまでも変わらぬ風景懐かしむ愛は不滅か千日紅咲く
千日紅、千日草ともいう。花言葉は「恋の希望」「不滅の愛」
38歳の宗像時子は、最初の夫と死別、再婚相手とは、二年で離婚、今は介護ヘルパーのパートをしながら父親の残した古いアパートの管理人をしている。
家賃3万円のこのアパートには、様々な事情を抱えた人達が住んでいる。
前半は、アパートの様子が綴られる。長くてちょっと退屈?かも。
時子は母親のカラオケ教室に付き添い、自分も一緒に歌を歌っている。
窓辺にちいさな汽笛がとどく
あなたはわたしの名前を呼んだ
メコンデルタに朝が来て
サイゴン川は金の帯
夢の続きが流れます
サイゴン・ドリーム
わたしはあなたが好きです
サイゴン・ドリーム
わたしはあなたの夢の中
降り出す雨に二人は走る
つないだ指も雨滴に濡れて
アオザイ店に駆け込んだ
あなたはわたしの髪をふき
お色直しを買いましょう
サイゴン・スコール
それがあなたのプロポーズ
サイゴン・スコール
わたしの顔にも涙の驟雨(スコール)
サイゴン・スコール
わたしはあなたに嫁ぎます
アパートの住人との交流、厳しくも優しく接する時子、そして母親との関係が淡々と描かれる。
ある日このアパートに似合わない青年、有馬生馬が入居してくる。
ここから恋愛小説なんだ(笑)と一気に引き込まれる展開。
時子の気持ちの動きが、懐かしい感じがする美しい風景描写と共に伝わってくる。
読み終わって、心がほっとする1冊。
落ち着いた大人のラブストーリーでした。
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