~いのちのうた~柳澤桂子
生命科学者であり、歌人、柳澤桂子さんの第二歌集「萩」
~紙と鉛筆一本。
短歌は私を病気の苦しみから救ってくれました。
おそらく私が老いて何もできなくなっても、
短歌は私の表現手段でありつづけるだろう
という自信を得たのもこのときです。~
(あとがきより)
原因不明の病に冒されながらも、生命科学に関する本を書き、短歌を作り続けている柳澤桂子さん、健康な私達が想像もできない、30年以上もの長い闘病生活の日々、その中でいのちを見つめ、いのちと向き合い、そこから生まれた「言の葉」は、日々深さを増し、自然に、宇宙に同化してゆく。そしてわたしのこころの深いところに響く。
歌集の中から5首
「マンモスの牙のごとくに伸びてゆく科学技術が人を滅ぼす」
「氷枕に頭痛をゆだね目をつぶる月をちぎって食べてしまおう」
「生きるという悲しいことをわれはする草木も虫も鳥もするなり」
「まぎれなく私に父と母がいた満月のようなまあるい記憶」
「生き抜かん強き思いはめらめらと宙にひろがる無限の炎」
柳澤桂子さんのこころから発する言の葉は、真っ直ぐにわたしのこころに伝わった。
※下写真二枚は、「心訳・般若心経・生きて死ぬ智慧」
文 柳澤桂子 画 堀文子
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